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ロジャースの来談者中心療法

【来談者中心療法とは】

 来談者中心療法は、カール・ロジャーズとその共同研究者たちにより提唱された。
名前の通り、来談者、すなわちクライエントを中心と考え、クライエントの思いをカウンセラーがクライエントの話をしっかりと聞き(傾聴)、ありのままを受け入れる(受容)が大切であるという考えがその手法によりうかがい知れる。

 ロジャースは、個人のパーソナリティーを、自己概念(自分の思いや考え方)と経験(自分が今まで体験してきたこと)の一致・不一致を検討し、その不一致が病気を生み出すと考えた。すなわち、自分が経験したことが、自分の思っていることと違う(これを「不一致」と位置づける)ことが多くなるにつれて、社会不適応などが起こってくると考えたわけである。それらは精神分析など難しいとされる学問に位置づけられるわけではなく、クライエントを中心にすることにより、その不適応についていとも簡単に説明がなされたわけである。

【カウンセラーの基本的態度】

 ロジャースは、来談者中心療法において、カウンセラーが備えておくべき基本的態度として、次のものを掲げている。

1.徹底的傾聴

 傾聴とは、字の如く、「耳を傾けて話を聴く」(「聞く」ではない)ことである。すなわち、クライエントが訴えることに対して真摯に向き合い、話を聴くということである。カウンセリングでは、クライエントが答えをほしがるあまりカウンセラーが積極的に話を進めてしまう恐れがあるが、こうなると「自分の話を聴いてくれない」というクライエントの不満が爆発し、信頼関係の構築に支障を来し、適切な療法を行うことが妨げられる。傾聴の前に「徹底的」という言葉があるとおり、徹底してクライエントの話に耳を傾けるべきなのである。

2.共感的理解

 クライエントの気持ちを理解する、ということであるが、簡単に相手の気持ちになることはできない。中途半端に共感を示すと、同情にとられてしまう危険性もはらんでいる。ここでは、クライエントが感じている思いを、カウンセラー自身の体験や想像力を最大限働かせて、思いを共有するという態度が必要である。思いを共有することで、クライエントの感情も共有することとなり、半減することもある。

3.純粋性・自己一致

 先ほど、ロジャースは「自己概念と経験の不一致で不適応が起こる」と述べたが、カウンセラーにこの不一致があってはならない。自分自身を正しく理解(自己覚知)し、クライエントに臨むことにより、クライエントの感情に巻き込まれたりすることがなくなるとされている。

4.無条件の肯定的尊重・無条件の積極的肯定

 受容と考え方が似ているが、「クライエントの発言が無条件に保証される。クライエントの意見を無下に否定しない」という考え方である。ロジャースの「ありのまま受け入れる」の究極的な考え方ともいえる。バイスティックの原則「非審判的態度の原則」の考え方に似ている。

【まとめ】

 カウンセリングを難しく考えず、数字などではなく「人」によって客観的にクライエントを見る、ロジャースは、この来談者中心療法によって、人として専門的ではあるが、当たり前の接し方を提唱したのではないだろうか。

ベストウェイケアアカデミー